広がる海の水面下に潜った瞬間だった。
そう、私があの娘に出会えた時の事だ。


SPONSORED LINK



 

あの娘との出会い

『こんばんは、今日は良い1日でしたか?』

実は水面下では無くその時、私は地上の上に立っていた。
それも有楽町のマルイ入り口付近にだ。
その娘は水中でゆったりと泳ぐ人魚のように美しい姿をしていた。

女『えっ?なんですか?』

私『すみません、間違えました、今日はいい1日でしたか?』

女『えっ? あっ、はい。』

私『すみません、ちょっと見掛けたら凄い可愛かったんで度胸試しに声掛けて見ました。』

女『いえいえ、そんな事ないですよ(笑)』
太陽の光が真っ赤な夕日に変わった瞬間だった。

その時、彼女は広げた右手を2回横になびかせていた。
それは断りなのか、熱さを感じたくない為なのか。
私はすかさず、彼女の行動言動を共にマネてみた。

私『いえいえ、そんな事ないですよ!』

女『なんですか、それ(笑)』

私『いや、ついつい釣られちゃっただけですよ(笑)』

女『そうなんですか(笑)』

何故だろう。そのとき彼女を可愛い、愛しい存在のように感じた。
その瞬間、私は彼女の何かを抱き締めた。

出会って3分も経ってない相手に対してこのような感情を抱いたのは生まれてこのかた初めてだった。

女『今日はこんなところで何してたんですか?』

私『今日はねぇ、ビッグエコーでひとりカラオケしてたんですよ』

女『えぇー、ひとりで行けるもんなんですか!』

私『でもよく行ってますよ』

女『えぇー!私は歌えないし1人でそんな所行けないから凄いと思いますよ!』

私『そうですか、ありがとうございます!』
 『お姉さんは今日は、何してたんですか?』

女『私は今日、美容院で髪を整える為にここまできましたよ』

私『えっ?どこにあるんですか?(笑)』

女『ここから真っ直ぐ、銀座方面に行けばありますけど(笑)』

私『えぇー、そんな髪の毛切るために銀座行くなんてオシャレですねー』
 『だからそんな髪の毛サラサラで綺麗な雰囲気だったんですね』

女『えっ・・・』

私『可愛いですねー(笑)』

女『・・・・』

私は満面の笑みで彼女の事を見つめた。

私『ちょっと暑いので、良かったら涼みにでも行きませんかー?』

女『ありがとうございます!良いですよー』

私『じゃあ行きましょう。』
と手を繋いでいく。

女『えっ?えっ?えっ?』

私『?』

女『いきなり手ぇ繋ぐんですか?』

私『いいじゃないですか、ダメですかね?(ニコリ)』

女『あっ・・・はい』
彼女の顔が一瞬赤くなった。

私『じゃあ行きましょう』

女『えっ、どこどこ!どこに連れてくんですか?』

私『あっ!ちょっとあそこの店行こう!ついてきて!』
 『大丈夫だから、安心して』

歩くとそこにはスターバックスコーヒーの看板が見えてきた。

 

スターバックスコーヒーにて

①スタバ

いらっしゃいませ!

そこには見慣れた、緑色のエプロン姿の女性達が笑顔で待っていた。注文を終え、2人は椅子に腰を下ろした。対面すると、何やら彼女は顔を下を俯いてしゃべった。

女『わたし・・・実は・・・・男の人と会話するのが苦手で・・・』

私『えっ!そんなふうに全然見えませんけど!』

女『・・・・・』

私『でもなんか、、、可愛いですね』

女『えっ?』
驚いた様子でその娘が顔を見上げると、色が真っ赤に染まっていた。

そこから徐々に2人は熟成されるかのように会話が弾み、和んでいった。その気分のまま2人は外へと飛び出すと、どうやら空は真っ暗になっていた。

私『ちょっと散歩しようか』

女『うん』

皇居方面に向かって歩き出す。するとなぜか2人を待っていたかのようにイルミネーションが光輝いていた。2人は共に喜びを急いだ。

女『ちょっとまた他のお店に行きませんか!』

私『いいですよ』

女『あっ!ちょっとあそこの店が楽しそう!付いてきて!』

私『えっ?何処に行くんですか?(笑)』

そこは暗くてよく見えないが、ペニンシュラホテルの様にも見える。2人は楽しく回転ドアの中へと入っていった。

その瞬間、今まで起きた全ての出来事が反転した。


SPONSORED LINK


反転する世界

その時、日が昇ったかのごとく同時に、エレベーターが上層階へと向かった。

チーン。

ドアが開くと、陽射しが掛かった階段があった。ふと左に目をやるとお店があった。

マーメイドカフェ①

カランカラーン。

店員『おぉーこんにちはー!!、今日は元気ですか?』
ドアを開けると目を丸くした店員がそこにはいた。

彼女『凄い元気ですー!何故だか楽しくなっちゃって!ンフフッ』
彼女はここの常連だった。

店員『こちらへどうぞ、ご新規2名様で~す!』

部屋は明るい雰囲気に包まれていて、多国籍の方々や大勢の人がそれぞれの白いテーブルで話をしあっていた。テーブルに案内される。

店員『とりあえずお飲み物は何になさいますか?』

彼女『んと、トロピカルジュース2つで!いいよね?』

私『ん・・・あぁ、う、うん』

彼女『じゃあそれでお願いします!ンフフ』

彼女はしばらくの間、満面の可愛い笑みを浮かべてニコニコだった。
そんな彼女を見て私は照れ、下を向き顔を隠した。

店員『はい、お待たせしましたどうぞ!』

私は顔を見上げると、ワイングラスには水色のジュースにさくらんぼ、ストローが入り、切ったオレンジが挟まれている。まるで常夏の夕日が垣間見れる瞬間だった。

私『ねぇ、ここは一体なんの店なの?』

彼女『大丈夫だから。安心して!』

落ち着かない様子で、グラスの中にあるさくらんぼを摘み、食べようとした時だった。急に部屋が真っ暗になった。

次第に明るい光がキラキラと輝きはじめ、部屋中を照らし出す。

すると目の前に女性達が現れ、何やらフリフリした格好で踊りを始めた。
それは白い見慣れたエプロン姿で女性たちが笑い合う光景が見えた。


私が食べようとしたさくらんぼが手から離れ、チャプンとグラスの水中へと潜った瞬間だった。

私『あら!まぁーメイドさんだ!』

店内ではたくさんの人が居ながらも2人だけの空間が保たれ、楽しい時間が流れた。

私『よし!僕たちも一緒に踊ろう!』
彼女『うん!そうしよう』

2人はまるで水を得た魚のように自由に楽しく踊り出した。

この時から2人だけの長い遊泳生活が始まった。

END

 

 


SPONSORED LINK


 

解説

内容については後日、解説します。