ガトンゴトン、ガトンゴトン!

暑い夏の日の山手線の電車。
そこには1人可愛い女の子が肌が透き通って見えるような、肌も透き通って見えるような薄着の服をまといながらスマホを見、座っている。

気になる視線

ジーッ。

するとそこにいた女の子がこちらを見た。
彼女が映った映像は、一時的に左に移動し、共に彼女の視線がスマホに戻った。

途端にまた映像がまた彼女を真ん中に映し出す。

ジーッ。

そこにいた彼女が再びこちらの視線に気付く。
と同時に、これは映像ではなく、自分の脳内の映像だという事に気付いた。

感情に引き込まれるのと、感情に引き込まれないとのギャップが激しい。
自分の出来事をあたかも他人の出来事であったかのように、感情を塞ぎ込んだ。

(こいつなんなの?さっきからジロジロ見といて。)

(視線だけずらして、あたかも知らないようなフリしやがって・・・)

『もうっ!!ジロジロ見ないで!!』

そう彼女の胸は豊満でとても豊かだった。
大地を、母なる愛を連想させるかのように。


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『なんだよジロジロ見んなよっ!』

私は専門学校生。
夏休みのある時、サボってた宿題に追われ、急いでやらなきゃいけねばならなかった。

『こんなの今更やっても訳わかんねーよ。』

そう思いながらも、日に日に迫っていく2学期。まもなく9月に差し当たろうとしている時だった。

『ダメだ、ぜんっぜんっ!集中できないっ!』

ある意味、いい開き直りでもあった。
そんな興味のなかった化学、いわゆるバケガク系の記号やら数式やらを必死に紐解いて暗記なり計算なりをしていた時の事である。

『じゃあこうなったら図書館で集中して、やるかぁ!』

私は自転車で近所にあった区民図書館へと足を運んだ。

『勉強なんか大してやらんけど、まぁ気晴らしにはなるかぁ』

中へ入ると、外の道路を走った自動車やバスの音など一切なく、ただ図書館という空間だけがそこには存在した。

『うーんと、慣れないけど2階へ行って見よう』

私は入り口付近にあった階段をせっせと上がり、1段2段飛ばしをしながら登っていった。
すると、そこには4人テーブル席で1人の女の子が黙々と何かを、漢字ドリルだか計算ドリルだかのノートに書き込んでいるのが見えた。

『よしっ、ここにしよう』

私はただそこの席が空いてるという理由でその場所を選んだ。
そこにいた女の子とは対角線上にして席を取った。

するとどうだ。
30分もして、ようやく集中出来た所に何かの視線を感じ取った。

ジーッ。

自分の脳内の映像をよく見ると、隅っこに、映像の角っこに。
テレビでいうならば、映り切るギリギリの角にあたる部分の事だ。
その部分に、先程座っていた彼女がこちらを何やらジロジロ、ジロジロと見つめている。

私も視線を彼女に合わすと、同様に彼女も視点を、首を横にずらした。

(なんなんだよっ!ジロジロ見やがって!)

(こっちは勉強してんだよっ!邪魔すんなっ!)

再び、脳内の映像を目の前の宿題に集中し、焦点を合わせた。
すると、何やらザワザワと感じる感覚が再びやってきた。

再度、脳内の映像をよく見ると
再び先程の彼女がこちらをジロジロ、ジロジロと見ていた。

あーーー!!集中出来やしねぇ!!

『もうっ!!ジロジロ見ないで!!』


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