しかし、彼女には行って欲しくなかった。
それと同時に、それは言って欲しくなかった。


SPONSORED LINK


 

同じ顔の彼女①

彼女『あれっ?あれっ?携帯どっかやっちゃったなぁ・・・』

なぜなら彼女は以前に惚れた相手と全く同じ、瓜二つの顔をしていたからだ。

彼女は自分のバッグの中をガサゴソと漁っていた。

私は彼女に携帯番号を求めた。
それと同時に彼女にも求められているのを感じたからだ。

しかし、正直に言い出せない。怖くて恥ずかしさがこみ上げてきた。私は正直、彼女の事を惚れていた。

見た目のルックスに関わらず、彼女に惚れていた。

雰囲気や見た目なんかではなくて、このなんというか心が痒いのかくすぐられているというのか。それを感じる自分が怖いのだ。感じてしまうと、自分が自分で無くなる。何が自分で何で自分なのか。

意味が解らないようだけど、本当に意味が解らない。
これじゃあまるでお手上げだぁ!

ここから逃げ出したい、じゃあ逃げ出そう。そんな思いだった。だが、ここは俺も男だ。そっちが駄目ならこっちで行く。

私は自分のバックから、たまたまあった紙とペンを使って電話番号を走り書きをした。あまりにドキドキして何が起こってるのか分からずに一瞬、気を失いかけた。

意識がふと気付くと、自分の電話番号を書いた紙が出来上がっていた。

私『はい!じゃあ良かったら、ここに今度電話してね!』

彼女『はい、じゃあまたね』

彼女は照れながらも、そのとてつもない笑顔と可愛らしい仕草をしていた。それをみて、私は心ときめいた。

彼女はすぐ目の前にあった階段へと歩き出し、その間2回もこちらを振り返り、手を振った。私も彼女が階段を降りきるまで見送った。

数秒後、素敵な感情が芽生えた。

『可愛い!』

顔を見ただけでこんなにトキメキが起こるのだろうか?
私はルンルンだった。

『やったぞ!これはイケる!』

それと同時にトキメキが確信へと変わった。
彼女も私に気がありそうだ、何とかいけるだろう。

私は駅に向かって歩き出した。

先程まであった情景が夢のようだ。
たった数分前にあった出来事なのに何故だろう?

時間の感覚が無くなった。その子と一緒に歩いていた時の道のりが別世界のように感じ、華やいで明るく見えたのを思い出した。

しかし、今ひとりで歩いてるのはただの道に過ぎない。
この感覚は一体なんだろう。
周りの景色、人々が掻き消され、2人だけしか存在しない空間。

普段は大人しくて穏やかな私の性格が一変し、彼女といると、なぜだか強気で自身に溢れた性格になっていた。素晴らしい!こんな日々が毎日でも続いたら良いのに!

ふと、先程の彼女の事を思い出した。

私『あれっあれっ?携帯番号がどっかにいっちゃった・・・』

そうなのだ!正にそうだった。
私は彼女に電話番号を書いたはずだが、最終4ケタが本当に合っていたのかを覚えていなかった。

私『あっ!、ヤベェ!緊張しすぎて本当に自分の番号書いたか覚えてねぇ!』

・・・

・・・

私『マズイッ!』

なぜだか、最終4ケタだけ違う数字を書いてしまった様な気もするし、しない気もする。しかもその確信もないまま。

私は帰宅した。

あわや、一触即発!自分の触れてはいけない記憶に触れた時だった。今更どうする事もできないのに。それを思い出した自分を後悔した。

共にどうしたらいいのかわからないままになった。

私はその記憶を掴みながらも、日にちが経過するのを待った。
そしてそれは確信した、彼女は私に連絡するということが無いことを。そしてこれからも。

ジーッといつ連絡が来るのかを待ち望んでいるかのように携帯を見つめていた。
私は連絡が来ることが無いのを知っているのに、なぜか心の何処かで彼女が現れるのを待っていたのだ。

ジーッと見つめていると、
それはついに現れた。


SPONSORED LINK




 

同じ顔の彼女

ジーッと椅子に座ってる彼女の目を見つめていた時の事だった。

私はその目を見つめた。
彼女も私の目を見つめていた。

その瞬間、何かが繋がった気がした。
目は揺らぐ不快な地震を見ることなく、深い自信を見た。

私は彼女の目をグッと見つめながらも、2回頷いた。
さらに彼女も驚いた事なく、私を見つめ返したままだった。

時間の感覚が無くなり、何かあった雑音が消えた。
いや、もしかするとぶつかり合ったのだろうか?

音が音と無くなり、無になった瞬間だった。
そうそれだ!その言葉が一番ふさわしい言葉だ!

それは互いの波長が混ざり合った瞬間、深い安心感のような物を感じた。私は、何かを思い出そうとしていた。

しかし、すぐに椅子から立ち上がり彼女は移動していった。
その時、既にもう感じていたのかもしれない。

まるで前の彼女①と再会したようだった。
今回出会った彼女②にも何かを感じる。

次第に彼女②と連絡を取るようになるも、なぜかぎこちない。

私は恐れた。自分を恐れた。
自分はなぜこんな美人で素敵な女性と連絡がとれているのだ?

・・・

ええい!そんなの必要ない消してしまえぃ!
私は彼女をからかい弄んだ。と同時に彼女を怒らせた。

彼女『どうして私はあなたと真剣にむきあっているのに、あなたは人のせいにするの?今まで色々と頑張ってきたじゃない!』

彼女『あなたの純粋な所、その真面目さが私は好きだったのに・・・』

彼女『そんな事をするのならもう私はあなたにも会わないし、連絡も取りません!』

私は本当は好きだったのに、本当に彼女の事が好きだったのに・・・。

どこか他人の言葉で連絡を取り続けた。結果、自分の気持ちに素直になれず、彼女の事を酷く傷付けた。

 

同じ顔した二人の彼女

そして、年月は経ちなぜかどこかで彼女達の面影を感じた。
私は以前の彼女①の事を思い出した。

『彼女は、本当は携帯を持っていたんじゃないかなぁ?』

『・・・』

『まさか・・・』

私は悟った。
私は彼女②に向き合う事を恐れた。

それと同時に以前の彼女①も、私に向き合う事を恐れていたのだ。

一体、この現実はなんだ?

嗚呼、あの頃に戻りたい。
戻って彼女②に電話して伝えたい。

『でも・・・』

『あれっ?あれっ?携帯どっかやっちゃったなぁ・・・』


SPONSORED LINK